平成24年第三回定例会 決算特別委員会

平成24年決算特別位委員会にて、平成23年度の決算について、自民党を代表して総括意見を発表しました。
以下全文です。
平成24年10月17日

高 木 秀 隆

平成23年度決算特別委員会 総括意見

私は、区議会自由民主党を代表して、平成23年度各会計歳入歳出決算に対しまして、去る10月1日より本日までの八日間に亘る審議を踏まえ、区議会自由民主党の総括意見を申し上げます。
我が党は、去る9月26日総裁選挙を実施し、安倍晋三元内閣総理大臣を第25代総裁に選出しました。安倍新総裁は、記者会見で「新総裁の使命は、この総裁選挙のテーマでもある「日本を、取り戻す。」、政権を奪還するということであります。この政権奪還は、私たち自由民主党のための政権奪還ではありません。今、日本の領海や領土が脅かされようとしています。そして、同時に長引くデフレ、円高によって、経済は低迷しています。この難局を打開して、強い日本、豊かな日本をつくっていく。それが私に課せられた使命であります。そのために政権奪還を目指していきたいと思っています」と表明し、今後、国民の期待にしっかり応えてくれるものと確信しております。
さて、平成23 年度を振り返ると、この年の最大の出来事は、やはり東日本大震災であったと思います。
平成23年3月11日14時46分東日本大震災が発生しました。日本周辺における観測史上最大の地震であります。この地震により、大津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部が壊滅的な被害を受けました。一日も早い復興を期待するものであります。
震災当時、震災に便乗した犯罪がなかったわけではありませんが、諸外国に見られるような略奪や暴動はなく、冷静に対応し、助け合いの精神に満ち溢れた“秩序ある日本人”として各国から称賛をあびたことは記憶に新しいところであります。このように日本人ひとりひとりは、素晴らしいし資質をもちながらも、政治が上手く機能していないため、国という団体になるとその素晴らしい資質を生かしきれていないのが現状です。政府は、震災当時、場当たり的な危機管理しか持ち得ず、それによって放射能被害を拡大させてしましいました。現政権の未成熟で経験不足の影響が、前述の震災対応に加え外交政策や経済政策でも顕著に表れてきています。特に外交政策では、国の基本的な外交スタンスが定まらないまま拙速な外交が繰り返されました。その結果、最も重要な日米の信頼関係を大きく損なうとともに、周辺諸国とのトラブルも頻発させてしまうこととなりました。
一方、世界経済においては、リーマンショックに続いてユーロ危機が勃発し、欧州政府の債務危機は依然として予断を許さないものであり、早期の回復とはいかない状況であります。更に、中国経済の減速傾向も見られ、アジア経済の成長スピードも大きく低下しております。我が国においてもデフレ・円高による長期の景気低迷により、相変わらず厳しい経済状況の年でした。一日も早く、東日本大震災からの復興需要も手伝って景気回復の気運が出てくることを期待します。
こうした中で本区の平成23年度の決算を見てみますと、歳入は、財調交付金と特別区税が平成19年度と比較して約171億円の減収、経常収支比率は、84.6%と過去二番目に高い数字と大変厳しい状況です。これまで充実させてきた基金を3年連続でトータル400億円を取り崩して歳入歳出のバランスを維持している点におきましては、多田区政の苦心の現れであると推察するところであります。このようなことができるのも平成13年から多田区長を本部長とする「江戸川区健全財政推進本部」を設置し、行財政改革に積極的に取り組み、区民生活に必要なサービスを長期的・安定的に行うことができるよう多大な努力を積み重ねてきた成果であると思います。今思えば、基金が1000億を超えた時、他の施策に支出しなくて本当に良かったと思う次第であり、多田区長の手腕を改めて高く評価するものであります。
さて、平成23年度決算審査にあたり、我が区議会自由民主党は、安全安心なまちづくり、産業の活性化、区民の立場にたった施策であることを重点に慎重に審査をして参りました。
平成23年度におきましては、①小岩図書館の建設②長島桑川コミュニティ会館の運用②小児用肺炎球菌ワクチン接種費用の助成③古着・古布のリサイクルシステムの確立④産業発明コンクールの実施⑤創業支援のための施設整備⑥JR小岩駅周辺のまちづくり推進⑧住宅等の耐震化促進事業の拡充をするなど、大変厳しい財政状況の中、工夫をし、108事業に及ぶ新規、拡充事業が展開され、その成果は多大であります。
以上の観点から、我が区議会自由民主党は、平成23年度各会計歳入歳出決算の報告に対し、所期の目的を達成し、区民の期待に十分応えたものとして、認定に賛意を表するものであります。
なお、審査の過程で委員から出された意見、要望については今後の諸施策に反映されますようにお願い致します。具体的に主なもののみ、改めて述べさせていただきます。
先ず、一般会計歳入について申し上げます。
○特別区民税について
予算編成に向けて、216の施策見直しが進められています。
一方では、各会計合わせ151億円に及ぶ収入未済があるので、この現状をしっかり認識し、公平公正の観点から払わない滞納者については強力に徴収に取り組むことを要望します。加えて滞納者の一元管理システムの構築も要望します。
続いて一般会計歳出について順次申し上げます。
総務費に関連して申し上げます。
○発災時の受援体制の想定について
多くの職員が被災地で真剣に復興に尽力された事実を高く評価すると同時に、被災地での経験を活かし、発災時の本区における受援体制の想定を検討することを要望します。
次に区民生活費に関連して申し上げます。
○子ども未来館について
子ども未来館の平日の有効活用は、重要な課題であります。
近隣小学校・地域等とより一層連携をはかり、さらなる活用を要望します。
○青少年の翼事業について
青少年の翼事業はOBネットワークを充分活用し、より多くの青少年の為の夢事業へと発展することを期待します。
○生活一時資金について
生活一時金貸付事業においては、不能欠損や収入未済額が多いので、貸付時の事前の連帯保証人への保証意思の確認等の徹底を要望します。
産業振興費について申し上げます。
○都市の農地について
色々な多面性を持つ区内の都市農地が減少することのないよう、更なる施策展開を要望します。
次に環境費について申し上げます。
○防犯カメラについて
犯罪の抑止力として、防犯カメラの未設置の駅前商店街にも防犯カメラの設置を要望します。
○放射線測定について
福島原発の事故以来1年半、放射線被害は収束の方向にあるとは言え、区民の中には過敏な方のみならず、低線量被爆の不安は払拭されておらず、今後長期に亘って継続的な放射線測定が望まれています。国が示す指針は尊重しつつも区民の不安に応える意味で、今後とも適切に対応されるよう要望します。
次に健康費について申し上げます。
○ガン検診について
ガンの早期発見早期治療は、生存率の向上、医療費の抑制にも繋がります。ガン検診の受診率目標30%を掲げてPR活動を進めていただくことを要望します。
○口腔保険センターについて
地域の歯科医療の重要な施設である口腔保険センターも設立以来8年が経過しています。区民の地域歯科医療の期待に応えていただく為にも、機器の更新や、新規機材の購入にあたっては、十分な支援を要望します。
次に福祉費について申し上げます。
○介護基盤の充実について
都市部における介護施設の用地確保が困難な状況にあって、地域密着型小規模施設の配置とは逆に、今後、容積率建蔽率の緩和や、将来学校統廃合の跡地を利用することも前提として多機能施設を集約した大型介護福祉施設を誘致することも、発想の転換とともに視野に入れていただくことを要望します。
○安心生活応援ネットワークの充実について
ひとり暮らしの熟年者が増加する中で、安否確認は大変重要なことです。電気・ガス・水道などのライフライン事業者との連携強化を要望します。
○児童虐待について
児童虐待の相談件数は増加を続け、痛ましい事件もなくならない状況です。社会全体としても早急に取り組む重要な問題でありますが、本区としても、児童相談所等関係機関と連携を強化し、この問題に積極的に取り組むことを要望します。○生活保護について
生活保護費において、不正受給が多くなると、本当に保護が必要な人まで誤解を招く懸念があります。公平・公正のためにも不正受給には、厳正な対応を要望します。
次に都市開発費について申し上げます。
○江戸川区住宅等整備事業における基準等に関する条例について
同条例、第31条並びに施行規則第25条については、今後増加する分譲マンションの建て替えに備え、実情に合わせて改正するよう要望いたします。

○JR小岩駅前周辺まちづくりについて
JR小岩駅前周辺まちづくりは地域の信頼と期待の声を背景に着実に進められています。大きく小岩の街全体の発展につながるよう更なる取り組みを要望します。
○京成本線の連続立体化事業について
開かずの踏切対策としての京成本線の連続立体化事業および京成小岩駅周辺の街づくり事業は地域の活性化を願う京成小岩駅周辺住民の長年の夢でありますので、積極的な推進を要望いたします。
次に土木費について申し上げます。
○自転車走行環境の整備について
ブルーレーンをはじめとする自転車走行環境の整備については、区民の皆様が安全・安心に通れるよう更なる工夫を要望します。
○細街路拡幅整備事業について
細街路拡幅整備事業については、良好な住環境整備の観点から、行き止まり先に公共施設のない私道についても助成の対象となるよう要望します。
○スーパー堤防について
安全安心の観点からスーパー堤防が実現されるよう、当該地区の方々にご理解を得るような努力を続けると共に、実現に向けて、国への積極的な働きがけを要望します。
次に教育費について申し上げます。
○学力テストについて
学力テストは、単に点数を競うのではなく本区の児童、生徒の学力度合いを広く比較し、向上に努める事に利用するために実施することが大切であります。そのような観点から実施すべき本区の対象学年の児童、生徒は全員学力テスト受けることができるよう今後も継続して要望します。
○特別支援学級の連合運動会について
特別支援学級の連合運動会は、各校の児童、保護者にとっては同じ思いの親同士の交流の場であるのと同時に現場指導者間の交流の場ともなっており有意義な情報交換が行われています。今後とも連合運動会の開催を存続するよう要望します。

○道徳教育について
次代を担う子供たちに、日本の伝統・文化をしっかり理解し、更には、愛国心を養うような道徳教育の実施を要望します。
具体的な事項については、以上であります。
最後に、本区の歳出構造をみてみますと高齢化の影響により扶助費が歳出全体の約4割を占め、健康保険や介護保険等の費用も年々増加の傾向は止められません。景気の低迷や雇用不安が増大するなか、区民が必要とする施策を実施していくためには、財政が健全でなければなりません。そうした状況のなかで、多田区長は、全事業1364事業のうち23区で突出している事業、今の時代にそぐわない事業等の基準で216事業からなる大規模な施策の見直し案を提示されました。
大切なのは、今、区民の皆様に痛みを伴う改革であっても、将来の江戸川区を考え、次代を担う子供たちの為に、安全で、安定した江戸川区を残す為には、必要な改革だと信じるのであれば、大衆迎合せずに勇気をもって改革を進めることであると思います。
私たち区議会自由民主党は、このような視点に立ち、区議会第一党の責任と自覚を持ち、この議論に真摯に向かってまいることを表明し総括意見とします。