平成25年第一回定例本会議が2月19日召集されました。
会期は31日 3月21日までです。
冒頭自民党を代表して教育問題について
区長に質問をしました。
以下質問全文です。
私は「青少年の翼」事業の拡充を考えました。
本区では、国際感覚を持った人材育成を目的に「野村・立井国際交流基金」を活用して区内の中・高校生を海外に派遣しています。この事業は、平成15年から派遣先海外2カ国59名からからスタートし、現在では、派遣先5カ国100名にまで拡大してきております。派遣された中高生からは、「世界にはまだまだ知らないことがあり、今まで以上に他国の文化や今起きている問題に深く興味をもつようになった。」などの声がよせられ、派遣目的を十分に達成している素晴らしい事業であります。
そこで私の提案は、これまでの異文化交流に加えて、音楽や絵画などの芸術文化を体験するコースがあっても良いのではないかということであります。確かに、音楽や絵画を学ぶことは日本でもできます。しかし、その芸術の生まれた風土や文化的背景を知らずに続けると、それは表面的なものになってしまう恐れがあります。スポーツの世界と同様に、芸術分野は一定の基礎を身につけたら、少しでも早く現地に赴き、肌でその文化を感じながら切磋琢磨することで更なる飛躍が期待できるのです。私が芸術文化の先進国で見たものは、一流の芸術家になるためには、一流の音楽や絵画に触れ、一流の指導者の指導を直接受けるということであります。このことが実現できたとしたなら、芸術に興味のある子供たちにはかけがえのない体験になることでしょう。そして、それはより早い時期に体験することが大切だと思います。この派遣を契機として、世界を知り、己を発奮させ、将来、音楽家や画家を目指す子供たちの進路決定の一助となればと思います。いつの日か芸術家として成功する子供たちがこの江戸川区から出てくるかもしれません。また、その子供たちが、故郷江戸川に帰ってきて子供たちの指導をする。多くの時間を必要としますが、そんな壮大で夢のあるプロジェクトにしたいと思いますが、区長のご所見をお伺いいたします。
次に教育問題について質問させていただきます。
まずはじめは、いじめ問題についてです。
昨年の大津市の中学校での自殺事件等、各地でいじめを苦にして児童生徒が自らの命を絶つ事件が繰り返されており、大きな社会問題となっています。いじめは、これまでも発見の難しさや内容の陰湿さが指摘されてきたところですが、近年ではその傾向が一層強まるとともに、携帯電話やインターネットを利用した新たないじめが見られるなど深刻化が進んでいます。こうした事は、対岸の火事ではないはずです。痛ましい事件がなぜ繰り返されるのか。今一度しっかりと検証し、本区から悲惨な事件が起きないよう、更なる対策を早急に講じることが必要だと思います。
そのような観点からいじめ問題について、具体的に3つ質問いたします。
まず、第一は、子供たちの心の問題です。昨今のいじめの特徴は、特定の児童生徒に対して長期間にわたり陰湿残忍な手法が多く、それは、善悪の判断がつかなかったり、または、善悪の判断はついても自制心に欠けたり、他人の心の痛みがわからないなど、児童生徒の心の荒廃が深く介在しており、いじめ問題の解決には、児童生徒の心の教育の充実が重要だと思います。本区においては、どのように心の教育を実施しているのかお聞かせ下さい。
第二に、早期発見、早期対応、早期報告についてです。いじめは、「どの学校でも、どの子どもにも起こり得る」問題であることを十分認識し、日頃から、児童生徒との信頼関係を築きながら子どもたちが発するサインを見逃さないようにして、いじめの早期発見に努めることが大切です。また、学級担任が一人で抱え込むことのないように、校長や学年主任に適切な報告がなされ、学校全体で問題解決していくような体制づくりも必要です。個々の教員がいじめを発見する能力、解決していく指導力も合わせて必要です。本区として、いじめ問題に対して早期発見、早期対応、早期報告をさせるためにどのような対策を講じているのかお聞かせ下さい。
第三に、いじめ問題に関する学校評価及び教員評価の実施についてです。文部科学省は、昨年「いじめの問題に関する児童生徒の実態把握並びに教育委員会及び学校の取り組み状況に係る緊急調査」を踏まえた取り組みの徹底について」という通知の中で、いじめの問題への更なる取組の充実を図るに当たっては、いじめ問題を隠さず、適切な実態把握や対応がなされることが必要であり、学校評価や教員評価の実施に際しても留意する必要があるといっております。いじめの有無やその多寡のみを評価するのではなく、日頃からのいじめの未然防止や早期発見、万一発生した際に隠ぺいせずに、いかに迅速かつ適切に対応をしたか、組織的にどのような取組等がされたかを評価をすべきといっておりますが、この点について、本区においてどのように周知徹底させていくのかお聞かせ下さい。
次に体罰問題についてお伺いいたします。
大阪市立高校の体罰による自殺事件をはじめ、学校の教員や部活動の指導者による児童生徒への体罰問題があとを絶たない状況です。本区においても体罰アンケートを実施した結果、見逃せない体罰事件が2件報告されたところです。全国各地において、数え切れないほどの体罰が日々教育の現場で発生しており深刻な状況であります。
教育は、児童生徒の人格形成を目指し、社会の一員として自立していくよう支援することであります。その実現に向けた教育活動の根底には、日々のふれあいを通じて構築された、教員と児童生徒との信頼関係が基礎になっていなければなりません。体罰は、児童生徒に対して、肉体的、精神的苦痛を与えるばかりでなく、人権を著しく傷つけ、教員と児童生徒との信頼と尊敬を基調とする教育の根本理念を自ら否定するものであり、法令でも禁止されています。本区としても早急に対策を講じていかなければなりません。以下三点について具体的にお聞きしたいと思いますので教育長のお考えお聞かせ下さい。
まず第一に、体罰の社会的背景についてです。
なぜ、体罰が教育現場に存在するのでしょうか?その背景には様々な要因が考えられますが、大きなものとしては、体罰を容認する風潮が根強く社会に存在していることではないでしょうか。多くの中高年層の方々は、自分の学生時代に体罰を受けた経験があり、それが愛の鞭として、児童生徒の健全な育成に必要なものであると認識している点です。昨今の報道では、体罰を行った教員や指導者たちは、「自分も過去にそのような環境の中で育ってきた。」という発言がよく見受けられることからも根深く存在しているのだと思います。まずは、このような風潮を地域や保護者の皆様といっしょに議論していく必要があると思いますが、お考えをお聞かせ下さい。
第二に教員の指導力の向上についてです。
考え方が多様化している今日(こんにち)の児童生徒に対して、昔の画一的な指導方法が通用しない時代であります。特に生活指導においては、柔軟な指導方法が求められており、教員のコミュニケーション能力やカウンセリング能力が試される場でもあります。教員の指導力向上に向けて更なる研修や実地訓練が必要になってくると考えますが教育長のお考えをお聞かせ下さい。
第三に、教育委員会のバックアップについてです。
体罰問題が過度に問題視され、現場の教員や指導者が委縮をしてしまうのではないかと懸念しています。個々の懲戒が体罰に当たるか否かは、単に、懲戒を受けた児童生徒や保護者の主観的な言動により判断されるのではなく、児童生徒一人一人の状況に配慮を尽くした行為であったのかといった観点からも判断されるべきであります。現場の教員や指導者が、委縮せずに統一した見解と毅然とした態度で教育指導にあたれるよう教育委員会がしっかりとガイドライン等で基準を示し、バックアップをしていくことが必要だと思いますが教育長のお考えをお聞かせ下さい。
次に親学についてです。
今(こん)日(にち)、家庭の教育力の低下が指摘され、学校に対して理不尽な要求をする「モンスター・ペアレント」が話題になるなど、一人一人の親に対して今一度、家庭教育について見つめ直すことが求められています。また、前述のいじめ問題、体罰問題について根本的な解決に導いていくには、やはり家庭での取組み、すなわち「親学」が重要になってくるのだと思います。親として子どもに真剣に向き合い、親としてできること、親としてしなければならないことをしっかりと見極め、実践していくことが肝要です。近年、教育の現場でさかんに発信されている「学校・家庭・地域」の連携も、子どもをもつ家庭が主体となってはじめて実現できるのであります。
「教育の原点は家庭にある」といわれ、子どもにとって親は人生最初の教師であります。しかしながら、現代の親は、核家族化の影響により、年配の方との交流が少なく、つまりは、子どもの育て方について学ぶ機会が少ない環境になっているのです。そこで、親になるための勉強、親が親らしくなれるように訓練すること、すなわち「親学」が必要になってくるのだと思います。
例えば、子どもを持つ人や、これから子どもが生まれる人に「親学講座」を実施する。保育園・幼稚園・小学校・中学校では、親に対して年代別に「しつけ講座」を開設するなど方策は、いろいろあると思います。運転免許制度は、更新のたびに交通安全のビデオ講習を受けますが、そのビデオを見ただけでもなるほどと気づくことも多々あります。それと同じようにあらゆる機会をとらえて親学ビデオを上映するのも良いでしょう。少しづつでも親の意識を変えるよう努力することが大切だと思いますが、教育長のお考えをお聞かせ下さい。
以上で第一回目の質問を終わります。